狭山市 眼科|中園医院トピックス

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3D映像と目への影響

近年、この3Dに関する映像技術は急速な進歩を遂げており、3D映画をはじめ、家庭での3D対応テレビ、3D対応パソコン、そしてゲーム機と、現在、私達の身の回りには、3D映像があふれています。
その一方で、独立行政法人国民生活センターには、3D映像視聴後の眼精疲労や不快感、頭痛や複視、映像酔いの報告がされており、生体への影響も懸念されております。

今回は、3D映像と目への影響についてお伝えします。

3D映像の仕組み

3Dとは三次元のことですが、最近では立体の映像や画像のことをさしています。
また、3D映像仕組みは、偏光メガネや液晶シャッターメガネを用います。両眼の視差を利用し、映像や画像の平面において、 画面より前に飛び出したり、奥行きを感じたりし、立体的に画面を見る方法を取っています。


3D映像と立体視

3D映像には同側の視差を利用した方法で、スクリーンに対して引っ込んだ立体映像と、交差性の視差を利用した飛び出した立体映像があります。 斜視や弱視があり、正常の立体視を持っていない人でも、大画面の飛び出した立体映像は、認識できる場合があると言われています。ただ、両眼視機能の発達過程にある就学時前の小児においては、3D映像視聴後に、急性内斜視を発症したと言う報告もされています。

3D映像と眼精疲労

3D映像視聴時には、左右眼に映し出される映像の特性差、撮影や表示の際の様々な条件により、現実の空間より、映像により再現された空間が見えにくく感じたり、不自然に感じたりします。

日常では、輻輳(ふくそう;視線を内方によせる眼球運動)と輻輳角の関係が、比例関係にあるのに対して、3Dでは、調節はスクリーン上に合わせているため、輻輳角が様々に変化する点が、眼精疲労の原因ではないかと不二門尚氏※1は述べ、3D映像と様々な客観的パラメーターの関係を検証しています。3D映像をみると、屈折は近視化、瞳孔(ひとみ)は小さく、輻輳系は輻輳過多(内斜傾向)に変化すると報告し、眼球に対する自律神経の支配が、疲労を示唆する(副交感神経優位)になっていると述べています。また、この変化は可逆性で、視聴後30分後には回復しいてると報告しています。

今後、3D映像は、標準化される時代が来ることが予測されますが、両眼視機能が発達過程にある就学時前の小児には、視聴制限が必要と思われます。
また、成人であっても、3D映像に対する視差の許容の限界は、幅があるため、個人の両眼視機能に合わせて、視差の調節が出来る機会の開発が望まれます。
さらに、輻輳不全のある人では、眼精疲労が起きやすいので注意が必要です。
3D映像を楽しむためには、視聴者、制作者ともに、視機能を理解し、眼科医が個々人の両眼視機能を評価し、啓発する必要があると言われています。

〔参考文献〕
不二門 尚※1:3D映像と両眼視:日本の眼科81:11号(2010):1414-1418より引用
   ※1不二門 尚:大阪大学大学院医学系研究科医用工学講座感覚機能形成学
江本正喜※2:3D映像と再現空間の歪み:日本の眼科81:11号(2010):1410-1413より引用
   ※2江本正喜:NHK放送技術研究所 人間・情報科学研究部


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